地球研FS研究

1.地球研FS研究とは

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所(地球研)
2020年度実践プロジェクト予備研究(実践FS)

陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの順応的ガバナンス:サンゴ礁島嶼系での展開 (責任者:新城竜一)

2.本研究の目的と目指すこと

本FS研究では、琉球の島々やパラオなどの西太平洋の熱帯・亜熱帯にある小島嶼など、サンゴ礁島嶼系での水資源の確保や健全な水循環・水環境の維持・管理の実現に貢献することを目指しています。

小島嶼の人々は、島嶼環境にある有限な資源の恩恵を受けて生活を営んできました。島嶼では陸と海をつなぐ水循環のスケールが小さく、例えば地下水の滞留時間は数年~数10年単位と短いことが分かってきました。近年の島の人口の増加や国内外からの観光客の急激な増加、土地利用や産業構造の変化などは、島の水資源と水環境の様態を変化させ、水循環を介してサンゴ礁などの沿岸の海洋生態系にも負の影響を与えています。さらに、小島嶼は地球温暖化や海面上昇、海洋酸性化などのグローバルな気候変動や環境変化に対しても脆弱性が高く、「地球環境のカナリア」的な側面も持っています。私たちは、島嶼で人と自然が持続的に共存するためには、陸と海をつなぐ水循環の仕組みを理解し、水資源とこれに関連した土、森、サンゴ礁生態系などのマルチリソースの順応的ガバナンスが必要だと考えています。

フルリサーチでは、1)多様な主体のアクションリサーチをとおして、2)各種の環境トレーサーやメタゲノム解析法を用いて島嶼の水資源・水循環系を解析・可視化し、3)これとサンゴ礁(海洋)生態系との相互作用を明らかにします。また、4)土地利用の変遷とあわせて、水資源の利用と管理に関する文化・規範・制度の変遷について、民俗学・社会科学的アプローチによって明らかにしたいと考えています。これらをとおして、5)サンゴ礁島嶼系の陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの持続可能な順応的ガバナンスを探究し、具体的な行動へつなげます。